僕と金子さんとの出逢いは『ル・マン24時間レース』が結んでくれたご縁でした。
レースをはじめる動機でもあったル・マン24時間レースに出たいという思いから人を介して金子さんとのご縁をいただきました。
僕は知り合ったばかりの金子さんにル・マン24時間レースを走りたいと思いをお伝えしたところ、ル・マンに出たかったらル・マンシリーズのスパ・フランコルシャン4時間耐久レースで実力を証明しろということで、考える間も無く翌月スパ・フランコルシャンへ行き(このときが初対面でした)チームと合流してレースに参戦しました。
その後2005年、2006年、2007年と金子さんのチーム( T2M MOTORSPORT )からル・マン24時間レースとル・マン シリーズへ継続して参戦させていただきました。
2007年を最後に金子さんはチーム活動を休止されましたが、2009年と2015年はドライバーマネージメントをしてくださり、ル・マン24時間レース、ヨーロピアン ル・マンシリーズに同行していただいてレースへ参戦することができました。
2016年はFIA WEC 世界耐久選手権に金子さんの親友であるジャックさん率いるラーブルコンペティションと契約するに当たり、ドライバーマネージメントを引き受けていただいて、一緒に一年間転戦することになりました。開幕前ポールリカールで開催されたWECの公式テストからシーズンがはじまり、シルバーストーン6時間レース、スパ・フランコルシャン6時間レースと連続して3位ポディウムに立つことができて、第3戦 ル・マン24時間レースは初めて完走することができました。
その後はニュルブルクリング6時間レースも3位になり、メキシコシティ6時間レースはシーズン初のリタイヤ、オースチン6時間レース3位、その都度サーキットで合流して一緒にレースを戦いました。そして日本で開催されるWEC 富士 6時間レースを楽しみにしていた矢先、パリで急逝されたと知らされました。
ル・マン24時間レースに魅せられて以来、ル・マンを中心に仕事をしてきたと言っても過言ではないライフスタイルも似た者同士でした。金子さんと出逢っていなかったらル・マンに出走することはできなかったと思いますし、僕の人生も大きく変わっていると思います。二人ともル・マンと耐久レースが大好きでレースにかける情熱を分かち合い11年間というとても短い時間ではありましたが、素晴らしい時間を共有する事ができて最高に幸せでした。今世ご縁をいただけたこと、情熱を込めていつも僕を応援してくださったことを心より感謝しています。金子さんが導いてくれたこの道をこれからも歩き続けて行きます。金子さん、来世もまたル・マンで逢いましょう。
2016, 10,10 山岸 大 Yutaka Yamagishi